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鞆の古文書解読、目録を刊行 '06/5/12

 江戸時代に福山藩港だった鞆が全国有数の文化拠点でもあったことが十一日までに、広島大の青野春水名誉教授(76)らによる古文書解読で分かった。鞆で保命酒製造を始めた中村家に眠っていた古文書で、時の歌人らによる保命酒を絶賛した和歌などが保存されていた。解読と整理を進める福山市は、目録の第一巻を刊行した。

 商人の町だった鞆が、文化的に繁栄していたことを象徴する文書の一つが「竹の葉草紙」。尊皇攘夷(じょうい)派の公家として知られた三条実美、歌人の香川景樹らが、保命酒をたたえる和歌や句を寄せていた。「一杯飲めば暑さを忘れ、二杯目で病を散らす…」。別の文人による宣伝文句も収めている。

 こうした宣伝文句や和歌、句の一部は、保命酒を入れるとっくりにも焼き付けてPRに利用されていたと、市などは推測している。

 中村家は一六〇〇年代の江戸初期、鞆で初めて保命酒製造に乗り出した。海上交通の要所にのれんを構え、藩から醸造の独占権を得たことで商いを拡大。鞆を代表する商家になった。

 今の中村家当主、中村弘さん(69)=広島市東区=が二〇〇四年春、手紙や売買書など古文書六百点以上を福山市に寄託。青野名誉教授や市鞆の浦歴史民俗資料館友の会のメンバー、市職員が解読や整理に当たり、中村家を中心とする鞆の文化の隆盛ぶりが判明した。

 市は今回、概略が分かった二百二十九点の古文書を目録にまとめ刊行した。目録はB5判で二百六十六ページ。希望者に千五百円で販売している。同資料館Tel084(982)1121。(野崎建一郎)

【写真説明】中村家文書を点検・整理する鞆の浦歴史民俗資料館友の会のメンバー

2006年5月12日中国新聞 インターネット版より 引用